投資詐欺の手口と見分け方|警察庁データで見る最新6パターン
投資詐欺の手口を6パターン別に解説。警察庁の令和7年統計では被害額1,274.7億円、入り口の約8割が広告とSNSのDMでした。著名人なりすまし広告の見抜き方とチェックリストをまとめています。
「月利10%保証」「元本保証で年利30%」——こんな言葉を見たら、それは投資詐欺の可能性が極めて高いです。
投資詐欺とは、実態のない投資話や虚偽の高利回りを示してお金をだまし取る犯罪行為のことです。
警察庁の統計によると、令和7年(2025年)のSNS型投資詐欺の認知件数は9,538件、被害額は1,274.7億円にのぼりました。前年から認知件数は48.7%増、被害額は46.3%増と、増加が止まっていません(出典:警察庁「令和7年における特殊詐欺及びSNS型投資・ロマンス詐欺の認知・検挙状況等について(暫定値)」|2026年8月4日取得)。
1日あたりに換算すると約3億4,900万円、被害1件あたりの平均は約1,336万円です。「まさか自分が」と思う金額が、実際に毎日失われています。
金融庁も「詐欺的な投資勧誘にご注意ください」と繰り返し警告を出しています(参考:金融庁 詐欺的な投資勧誘にご注意ください)。
この記事では、投資詐欺の6つの手口と見分け方を、警察庁が公表している実際の統計をもとに解説します。大切なお金を守るために、ぜひ最後まで読んでください。
投資詐欺が増えている背景
新NISAの開始をきっかけに投資への関心が高まる一方、投資初心者をターゲットにした詐欺が急増しています。
被害はどれだけ増えたのか(警察庁の実数)
警察庁が公表しているSNS型投資詐欺の統計を並べると、増加の急激さがわかります。
| 項目 | 令和6年(2024年) | 令和7年(2025年) | 増加率 |
|---|---|---|---|
| 認知件数 | 6,413件 | 9,538件 | +48.7% |
| 被害額 | 871.1億円 | 1,274.7億円 | +46.3% |
| 1件あたり被害額 | 約1,358万円 | 約1,336万円 | — |
出典:警察庁「令和7年における特殊詐欺及びSNS型投資・ロマンス詐欺の認知・検挙状況等について(暫定値)」(2026年8月4日取得)。令和6年の数値は同資料の前年比増減から算出。
同じくSNSを入り口とする「SNS型ロマンス詐欺」も令和7年で5,604件・552.2億円(前年比+46.5%/+37.8%)と高水準です。ロマンス詐欺は恋愛感情を使って近づき、最終的に投資話に誘導する手口が多く、投資詐欺と地続きです。
詐欺の入り口は「広告」と「DM」で約8割(重要)
警察庁は、被害者が最初に犯人と接触した手段まで公表しています。ここがこの記事で最も知ってほしいデータです。
| 最初の接触手段 | 令和7年の認知件数 | 前年比 |
|---|---|---|
| バナー等の広告 | 3,760件 | +859件(+29.6%) |
| ダイレクトメッセージ(DM) | 3,576件 | +1,443件(+67.7%) |
この2つで全体の約8割(実数で計算すると76.9%)を占めます。
具体的な媒体まで特定されており、警察庁は次のように指摘しています。
- バナー等広告:YouTube、投資のサイト、Instagram
- ダイレクトメッセージ:Instagram、LINE、Facebook
さらに令和7年3月以降、広告からの被害が増加傾向にあり、その内容として著名人の画像や動画を無断で使用した広告が確認されています。「必ずもうかる」「元本保証」といった文言を含む広告も見つかっています。
つまり、「有名な投資家がすすめていた広告」は、その有名人が本当にすすめているとは限りません。顔写真や動画が使われていても、本人は関与していない無断使用のケースが実際に確認されています。ここが従来の詐欺と最も違う点です。
狙われやすい人の特徴
- 投資の基本知識がない初心者
- 「早く資産を増やしたい」と焦っている人
- SNSで投資情報を集めている人
- 「知人に紹介された」という信頼で判断する人
1件あたりの平均被害額が約1,336万円という数字が示すとおり、狙われているのは「少額を軽い気持ちで出す人」ではなく、まとまった資産を持ち、それを増やしたいと考えている人です。「自分は大丈夫」と思っている人ほど危険です。
パターン1:ポンジスキーム(自転車操業型)
最も古典的かつ被害額が大きい詐欺パターンです。
仕組み
- 「月利5%保証」などの高利回りを謳って出資を募る
- 最初の数か月は実際に配当を支払う(これは新規参加者の出資金から払っている)
- 参加者が安心して追加投資する
- 新規参加者が減ると配当が滞り、最終的に破綻する
見分け方
- 利回りが異常に高い: 年利10%以上を「保証」する商品は基本的に存在しない
- 運用の実態が不明: 「何に投資しているか」を聞いても曖昧な回答しかない
- 紹介制度がある: 新規参加者を紹介すると報酬がもらえる仕組みはMLM(マルチ商法)の疑い
- 金融庁に登録されていない: 投資運用業の登録がない業者
実際にあった事例の教訓
「最初に配当が出たから信用してしまった」という被害者の声は多いです。ポンジスキームは最初の数か月は必ず配当を出します。それ自体が信用させるための手口です。
パターン2:SNS・マッチングアプリ型
近年急増しているのが、SNSやマッチングアプリを通じた投資詐欺です。警察庁の統計では、最初の接触手段のうちダイレクトメッセージが3,576件(前年比+67.7%)と最も増加率が高い手口です。使われている媒体はInstagram、LINE、Facebookが中心と特定されています。
手口
- SNSやマッチングアプリで親しくなる
- 「自分も投資で成功した」と話を振る
- 海外の無名な取引プラットフォームを紹介する
- 少額を入金させ、画面上では利益が出ているように見せる
- 「もっと入金すれば大きく儲かる」と追加入金を促す
- 出金しようとすると「手数料が必要」「税金の前払いが必要」と言われる
- 最終的に連絡が取れなくなる
見分け方
- 直接会ったことがない人からの投資話: ほぼ100%詐欺
- 海外の無名プラットフォーム: 金融庁に無登録の海外業者は要注意
- 出金時に追加料金を要求: 正規の証券会社では出金に追加費用は不要
- プロフィール写真が美男美女: 他人の写真を使っているケースが大半
パターン2.5:著名人なりすまし広告型(令和7年の最多手口)
警察庁の統計で最初の接触手段の第1位は「バナー等の広告」で3,760件です。SNSのDMより多く、被害の入り口として最大になっています。
手口
- YouTube・Instagram・投資関連サイトに広告が表示される
- 有名な投資家・経営者・タレントの写真や動画が使われている
- 「無料で学べる」「公式LINEに登録を」と誘導される
- LINEグループに入れられ、他の参加者(サクラ)が「儲かった」と発言する
- 指定された取引アプリへの入金を促される
見分け方
- 著名人の顔写真・動画が使われた投資広告は、まず疑う。警察庁が「著名人の画像や動画を無断で使用した広告」の存在を明言しています
- 「必ずもうかる」「元本保証」の文言。警察庁が広告に含まれる典型文言として名指ししています
- 広告からLINE登録に誘導される:正規の証券会社が個人LINEで投資助言を行うことはありません
- 本人の公式SNSで確認する:著名人本人が「私の名前を使った広告は詐欺です」と注意喚起しているケースが多数あります
なぜ引っかかるのか
従来の詐欺は「知らない人からの怪しい話」でした。しかしこの手口は、本人が実在し、実績もある有名人の顔を使います。「この人が言うなら」という判断そのものを乗っ取ってくるため、知識のある人でも防ぎにくいのが特徴です。
顔と名前は、無断で使えます。判断材料にしてはいけません。
パターン3:無登録業者による勧誘
日本で投資商品を販売するには、金融庁への登録が必要です。無登録で投資の勧誘を行うことは金融商品取引法違反です。
確認方法
金融庁は登録業者の一覧を公開しています(参考:金融庁 免許・許可・登録を受けている業者一覧)。
以下の場合は要注意です。
- 業者名で検索しても金融庁の登録一覧に出てこない
- 「海外で登録しているから日本の登録は不要」と主張する
- 金融商品取引業者の登録番号を提示できない
登録番号の確認手順
- 金融庁のウェブサイトにアクセス
- 「免許・許可・登録等を受けている業者一覧」を開く
- 業者名または登録番号で検索
登録がない業者から投資商品の勧誘を受けたら、絶対に応じないでください。
パターン4:「絶対儲かる」系の情報商材
「このシステムを使えば月収100万円」「AIが自動で稼ぐ」といった投資情報商材にも注意が必要です。
よくある手口
- 無料セミナーや無料LINEグループに誘導
- 「無料」の後に高額なバックエンド商品を販売(数十万〜数百万円)
- 「先着○名限定」「今日だけの特別価格」と急かす
- 成功者のスクリーンショットを見せるが検証不可能
見分け方
- 「絶対」「必ず」「保証」という言葉: 投資に絶対はない
- 実績の証拠がない: スクリーンショットは簡単に偽造できる
- 高額な入会金・システム利用料: 正規の証券会社は口座開設無料
- 返金保証を謳うが実際は返金されない: 条件が厳しすぎて返金不可能
消費者庁も情報商材トラブルについて注意喚起しています。「儲かる仕組みを他人に教える」こと自体が不自然であることに気づきましょう。
パターン5:暗号資産・未公開株詐欺
「まだ上場していない暗号資産(仮想通貨)を今のうちに買えば10倍になる」「未公開株を特別に購入できる」という勧誘も典型的な詐欺パターンです。
暗号資産詐欺の特徴
- 独自トークンの購入を勧められる
- ホワイトペーパーの内容が曖昧または技術的に実現不可能
- 運営者の身元が不明
- 暗号資産交換業者としての登録がない
未公開株詐欺の特徴
- 「もうすぐ上場する」と言われるが上場しない
- 株式の売買を仲介する資格(第一種金融商品取引業)を持っていない
- 「あなただけ特別に」という選民意識をくすぐる言葉
どちらも金融庁への登録確認が最も確実な見分け方です。
投資詐欺を見抜くチェックリスト
以下の項目に1つでも当てはまったら、詐欺の可能性を疑いましょう。
- 「元本保証」を謳っている(投資に元本保証はない)
- 年利10%以上を「確実」と言っている
- 金融庁の登録番号を確認できない
- 運用の仕組みを具体的に説明できない
- SNS・マッチングアプリで知り合った人からの紹介
- SNSのDM(Instagram・LINE・Facebook)で投資話を持ちかけられた
- 著名人の顔写真や動画を使った広告から入った
- 広告や投稿から公式LINEへの登録に誘導された
- 出金時に追加費用を要求される
- 「今すぐ決めないと枠がなくなる」と急かされる
- 契約書がない、または内容が曖昧
- 紹介者を増やすと報酬が得られる仕組み
- 海外の無名業者・プラットフォーム
3つ以上当てはまったら、ほぼ確実に詐欺です。
太字にした3項目は、警察庁の統計で被害の入り口の約8割を占める経路です。ここに1つでも当てはまるなら、金額の大小にかかわらず一度手を止めてください。
騙されてしまったときの対処法
万が一、投資詐欺に遭ってしまった場合の対処手順です。
すぐにやること
- これ以上の入金をやめる: 「取り戻すために追加投資」は二次被害の典型
- 証拠を保全する: やり取りのスクリーンショット、契約書、振込記録
- 消費者ホットラインに相談: 電話番号「188」(いやや)
- 警察に被害届を出す: 最寄りの警察署またはサイバー犯罪相談窓口
- 弁護士に相談する: 法テラス(0570-078374)で無料相談可能
注意点
- 「被害金を取り戻す」という業者も詐欺の可能性がある(二次被害)
- 時間が経つほど回収が難しくなるため、早めの行動が重要
安全に投資を始めるための3つの原則
詐欺を避けて安全に投資するために、以下の3つの原則を守りましょう。
原則1:金融庁登録業者のみ利用する
証券会社・FX会社・投資助言業者は、すべて金融庁への登録が義務付けられています。登録業者なら100%安全とは限りませんが、最低限の信頼性は担保されます。
原則2:理解できない商品には投資しない
仕組みが理解できない投資商品は避けましょう。「よくわからないけど儲かるらしい」は最も危険な思考です。
原則3:「うまい話」は存在しない
ウォーレン・バフェットのような世界最高の投資家でも年平均リターンは約20%です。「月利10%(年利120%)保証」がいかに異常な数字か、冷静に考えればわかります。
まとめ|「知っている」だけで防げる詐欺がある
投資詐欺のパターンをおさらいします。
- ポンジスキーム: 高配当で信用させ、新規出資金を配当に充てる自転車操業
- SNS・マッチングアプリ型: ネット上で親しくなり、偽の取引プラットフォームに誘導(DMが3,576件・前年比+67.7%)
- 著名人なりすまし広告型: 有名人の顔を無断使用した広告から誘導(3,760件で最多)
- 無登録業者: 金融庁に登録なしで違法に投資商品を販売
- 情報商材型: 「必ず儲かるシステム」を高額で販売
- 暗号資産・未公開株: 実態のないトークンや未公開株を売りつける
このうち2と3だけで、被害の入り口の約8割を占めます(警察庁・令和7年)。裏を返せば、「SNSのDM」と「広告の有名人」の2つを警戒するだけで、被害の大半は避けられる計算になります。
投資詐欺は「知らない人」を狙います。この記事で紹介したパターンを知っているだけで、被害に遭うリスクは大幅に下がります。
少しでも怪しいと感じたら、金融庁の登録確認と消費者ホットライン(188)への相談を最優先にしてください。
※当サイトの情報は、特定の金融商品の売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任において行ってください。
よくある質問
